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タイトル
「知的生活の方法」
渡部昇一著
この本は必読書です。
勉強することについて考えるのであれば、この本は外せません。
私が本は買って読むべきという持論をもっていますが、私が気づかなかった視点で、この本は本を買って手元に置いておくべきである理由を教えてくれました。
この本では、本を買うことで出費した分以上の効果を得てやろうと、情報を吸収することに貪欲になれる、と指摘しています。
ビジネス書を読むことにのめりこんだばかりのあの頃の私は、本から情報を得るためにかける時間を気にしてばかりいました。
しかし、
本を読むときの、そういう必死さというか、真剣さというものに、長期記憶移行を速やかに行う作用があることを知ったのです。
たくさんの情報を短期間で覚えても、それほど大きな意味はありません。
なぜなら、その後のメンテナンスがなっていないと、一定期間後に、忘却されてしまうからです。
極端な話、ものすごく集中して感情に訴えて得た知識は、一回見ただけで忘れない、ということです。
多少時間がかかっても、そういう状態をつくり出せたなら、勉強の効率があげられるということです。
この本自体には、長期記憶などに関する話は出てきません。
それは他の本で私が得た知識です。
だから、この本一冊しか読んでいない人は、それほど感銘を受けないかもしれません。
でも、記憶に関する情報と速読に関する情報の両方を予めインプットしていた私が、約1000冊ほど読んだくらいの時期に、この本に出会って衝撃を受けたのです。
おそらくは著者が人生をかけて得たであろう勉強に関する教えに触れ、これが腑に落ちたのです。
そして、速読も良いけれども、精読することで得られるメリットもあることも書かれています。
私が、ただ速く読むことに意味なんてない、というのも、この本の影響をそれなりに受けているのです。
さらに、この本は勉強の危険性についての示唆をしてくれました。
ビジネスパーソンにとって、常に勉強して前に進んでいかねばならないものですが、実は、勉強しているという状態が危ないというのです。
そんな馬鹿な。と思いますよね。
勉強は必要なことで、情報を知らない人間は、武器を持たずに戦場にいくようなものであるということは、私が言わなくてもみなさん感じていることであると思います。
では、なぜ、勉強が危ないのか・・・。
それは、勉強していることに安心していることが少なからずあるからです。
勉強したから大丈夫。
今、自分は努力している。
そう思うことが、心のよりどころになって、勉強すること自体に満足してしまうのです。
それが慢心の一種であるということです。
そして、
勉強していることが正義であると思っているからこそ、勉強の効率を考えずに勉強している人が多いのです。
勉強はすればいいというものではありません。
さぼっているように見えない人で、成績が伸びていない場合は、おおよそ、勉強していることに満足していて、効率を上げていないからと思われます。
また、勉強ならなんでもいい、という人もいます。
知らないよりは、知っている方がいい、ということで、何でもかんでも勉強しようとする人がいます。
別に悪いことではないのですが、人生の時間は限られています。
本で数冊程度触れるくらいならいいのですが、資格をとってみたりして、本格的に勉強している人は、かなりの時間と労力をそこにつぎ込んでいます。
でも、あなたは、勉強していることによって得られる利益を視野に入れていますか?
世の中には、たくさんの資格があります。
現在または直近の未来において、自分の仕事に必要ないのに、それらの資格をやたらと手にしているのは危険なのです。
頑張っているわりに、現在の仕事で評価されないことが多いからです。
仕事の本当の報酬は、次の仕事です。
成果を上げた人のところに、より責任のある、より重要な仕事が回ってきます。
目の前の仕事に全力を注げない場合、クオリティは下がるでしょう。
そう期間が続くと、仕事ができない人間であるとレッテルを貼られてしまいます。
そこまでいかないにしても、努力しているわりに、本業での評価が上がらないでしょう。
そうなると、仕事は面白くなくなってしまいます。
時間は限られています。
だからこそ、取捨選択することは重要なのです。
自分がやるつもりであるビジネスに関する情報は深く、趣味程度のものであれば、本数冊程度。もしくは読まないで、自分のビジネスに関する情報を手に入れるようにするべきです。
ちょっと興味が湧いたくらいならいいのですが、自分のビジネスと関係ないことにのめりこむのはよくありません。
自分では勉強のつもりでも、実際には時間の浪費です。
もし、どうしてものめりこむくらいに好きでやめられない趣味がある場合には、それを自分のサイドビジネスにできるくらいにまで、とことんやるようにすべきです。
とにかく、ビジネスにできない程度の中途半端に詳しい分野というのが、あなたの時間を浪費させる一番怖い行為なのです。
だって、本人は勉強のつもりなので、いいことした気になっていますからね。
時間を浪費しているにも関わらず、全く反省はしません。また、同じように時間を浪費することでしょう。
最後に、フォローしておきますと、幅広い知識を得ることが悪いといっているわけではありません。
しかし、勉強がいつも正義で、勉強すること自体に、デメリットが一つもない、という考えは危険であるということです。
勉強さえしていれば、いつか報われる、というわけではないのです。
勉強することの目的、意味、最終的にどうなるために、この情報を得ようとしているのか、常に考えて行動した方がいい、ということを指摘しているのです。